224 名前: おねがい先生 投稿日: 03/08/29 12:50 ID:jyCAZOmJ 中学3年生の時。
僕は陸上部でそこそこ優秀な成績を挙げてて、その年は関東大会に行く事が決まってました。
陸上部の顧問はおばちゃん先生で、もちろんその先生と一緒に行く事になってたんだけど、
前日になって急にその先生の都合が悪くなって、突然に副顧問の先生と行く事になったのです。
副顧問は当時25歳の保健の先生で、とても綺麗な人だったから、実は密かに憧れていました。
でも、当時は女の子ともまともに話せなかったし、一緒に行けるということが嬉しい反面、内心ではどぎまぎしていました。
当日、朝から電車に乗って2時間くらいかかる会場に向かったんだけど、朝早かったのもあって、僕はいつの間にか席で眠りの中。
会場近くになってふと気付いたら、なんと耳元に先生の肩の感触が。
僕は気付かずにずっと先生の肩に寄りかかって寝ていました。
どうしていいかわからなくて、その時は黙っていたんだけど、駅に付いて会場に向かうタクシーの中で、
「先生、さっきはなんか先生の肩でねちゃったみたいで…」
と口ごもりながら言うと、
先生はきょとんとした顔をして
「なに、そんなこと気にすることないのよ」
と優しく言ってくれました。
僕は当時、上手く笑顔を作る事ができなくて、でも、なんだか今まで以上に先生が好きになりました。
会場に着いても競技が始まるまでには時間があって、その間に普段はできないいろんな話を先生としました。
先生はいつも保健室にいるから、接する機会がそんなに無くて、
先生とこうして二人きりで学校から遠くはなれた場所に来ているなんて、それだけで夢みたいでした。
先生は陸上に関して専門的な知識はなくても、競技が始まる直前まで熱心にマッサージをしてくれました。
親以外の女性にそこまで体を密着させられた経験が無い僕は、とても不思議な幸福感に包まれていました。
かと思えば、保健の先生なのに胃を下にして寝ると体にいいという話をしつつ、
先生の言う方向は逆だということを僕から指摘されたり、とにかくかわいらしい先生でした。
競技自体は普通の成績で終わりましたが、先生からの歓声がとにかく嬉しくて、僕はそれだけで幸せな気分になっていたのを覚えています。
決勝に残る事もなかったので、僕と先生は早々と会場を出ることになりました。
その時、どちらから言ったわけでもないのですが、この時間を使って近くを観光しようという事になりました。
先生からしてみれば、学校から離れた場所での解放感もあって、軽い気持ちでそう言ったのでしょうが
僕にとっては、生まれて初めての女の人とのデートでした。
最初は緊張していた僕も、時間が経つほどに先生と仲良くなって、
なんだか好きだという気持ちも通り越して、自分の本当のお姉さんと一緒にいるような気分でした。
楽しい時間はあっという間に過ぎ去って、僕達は駅へと戻る道を、夕焼けが跳ね返る橋の上、並んで歩いていました。
その時、すっと先生の髪の毛が僕の耳に触れた気がしたかと思うと、先生は僕の腕にそっと自分の腕を組んできてくれました。
先生としては、多分軽いスキンシップのつもりだったのでしょう。
でも、その胸の感触は、僕が生まれて今まで経験した中で、間違いなく一番胸の高鳴りを起こさせたものでした。
僕は、その時ただの憧れとして今まで持っていた先生への気持ちが止まらなくなりそうで怖くさえなりました。
どうやってそういう話になったのかは覚えてないのですが、結婚とか恋愛の話になっていきました。
普通に学校で先生と生徒としての関係でいたら、まずは考えられない個人的な話題です。
「あの…、先生は、どんな男の人が好きなんですか」
先生は、おや?というような顔を一瞬してから、すぐにいつもの微笑みに戻って、
「うーん…、優しい人だったらいいかな」
その後、今までのうぶな自分からは想像できない言葉が僕の口をついて出ていました。
「先生、…もし、あと何年か結婚とかする機会がなかったら…、…その…、僕が先生をもらってあげるね?」
一瞬、時が止まってしまったような気がしました。
僕は、こんな事をいってしまって良かったのか、と心底後悔しました。
歩いている感覚も痺れて、次が右足か左足かもわからない状態でした。
まともに先生の顔を見る事ができないまま、どれだけの時間がたったのでしょう。
多分それは今考えると数秒だったに違いないのですが、僕には本当に長い時間に感じました。
「うん、ありがとう…。君だったらそれもいいかな…。」
その後、駅に着くまでの道に着くまでの事はよく覚えてません。
ただ、先生の目をちらっと見たとき、ちょっとだけ潤んでいたのは覚えています。
それが何を意味してたのかは、当時の僕にはわかりませんでした。
その後、駅前の喫茶店に入って、他愛の無い話をたくさんしました。
そして、帰りの電車に乗り込む頃には先生とは打ち解けて行きの電車とはまるで別人のように、暖かい会話の中で時間が過ぎました。
普段は口下手な僕もその心地よさに少し調子にのっていたのでしょう。
「今日は少しつかれたから、先生の肩に寄りかかって寝ながら帰ってもいいですか?」
先生はちょっとの間をおいてから、うん、とやさしくうなずいて、そっと僕の方に肩を差し出してくれました。
それからは二人でよっかかりあうようにして、地元の駅まで寝ながら帰りました。
実は僕は途中で何度も起きたのですが、先生とこれだけくっついていられる体制を絶対に壊したくない、と思い、ずっと寝たふりをしていました。
その時です。
先生が僕のほうへ体をすっと寄せてきた気がしたと思うと、なんだか髪の毛のあたりに先生の顔が当たる柔らかい感触がしました。
それはとてもあたたかかくて、包まれるようで…、多分あれは先生の唇だったのかもしれません。
それから学校で先生とはたまに顔をあわせましたが、特にそれまでと代わることなく、卒業をむかえました。
卒業後、しばらくして先生は同じ学年の先生とずっと交際していて、結婚を機にうちの中学校を離れるということを同級生から耳にしました。
たまに手紙を書いたりもしました。
今はお子さんも小学生になるのでしょうか。
僕もいつの間にかあの時の先生の年齢に追いついてしまいました。
だけど、先生があの日をどのように受け止めていようと、僕にとって初めての恋は、間違いなく先生でした。
初めての恋人は、素敵な素敵な先生でした。
おしまい